12月13日(月)13時から香川県教育会館3階会議室において、鳴門教育大学との共同研究の一環として、また、鳴門教育大学大学院特命教授(名誉教授)の阪根健二様の御協力により、香川県教育文化研究所主催、香川県教職員連盟協賛による「教員向けの表現力向上対策講座」を開催することができました。
講師として、瀬戸内海放送(KSB)アナウンサー、KSB・FM香川アナウンススクール校長の中村康人様をお招きして、「よりよい伝え方・表現力」について御指導いただきました。
中村様からは、「より豊かな伝え手」になるには、まず、様々な経験を積むこと、それをどう蓄積していくのかが大切であることを述べられました。また、「伝える」ことは「発信力」、すなわち「存在感」であることをおっしゃいました。
次に、「伝える」技術を磨いていくための具体的な方法も御指導してくださりました。「100%をいかに維持するか」が重要だが、そう考えると間違ってはいけない、よりうまく話さなければならない等の意識が働き、緊張や不安が増長し、その結果、うまく表現できずに終わってしまうことが少なくないことを述べられました。
これらを解消していくためには、まず、伝えることを箇条書きにして、文末を気にせず友達に話す感覚で練習することが必要であると述べられました。例えば、今日いちばん話してみたいこと、良かったこと等を書き出し、1分程度でよいので友達に聞いてもらったり独り言でしゃべってみたりすることを習慣化するといったことです。
そして、言葉の引き出しを多く持つ、たくさんの知識を得ることも重要であることも述べられました。これらは実は日常生活の中から学ぶことがほとんどで、そのことを意識して過ごすことが大切であることをおっしゃいました。例えば、自分の興味のある分野(スポーツ新聞や芸能関係書物等)の記事を口に出して読むことで、より豊富な表現を知り、活用していくことができるようになるといったことです。また、声を前に押し出しはっきりとした発音をする意識を高めることも大切であると述べられました。声を前に押し出すためには、目線(顔)をできるだけ下に向けず、腹式呼吸を行いながら話すことや、はっきりと発音するためには、まず単語(例えば「学校教育」)を1文字1文字で切って(「が・っ・こ・う・き・ょ・う・い・く」)声に出し、徐々にスピードを上げて一文字一文字をつなげていく練習を行うことです。日々の10分~15分程度でよいので、これらのことを地道に繰り返し行うことで、「話す・伝える」自信につながっていくことを御示唆いただきました。
続いて、「伝える」(プレゼンや面接等で)ときの心構えを、御指導いただきました。
①名前から伝える気持ち
②『間』の活用・・・最も伝えたいことの直前、間をあける(間も言葉の一部)
③言葉は必ず前に
④背伸びをしない(うまく表現してやろうという気持ちはいらない)
⑤何事もポジティブに(笑顔が増える→自他ともにプラス)
⑥緩急強弱(母音をしっかりと)
主に6点については、いつも意識しておく必要があることを述べられました。ただ、技術や心構えももちろん必要だが、最も大事なことは、「『伝えたい』というひたむきな思い」がなければ、どんなに言葉巧みに話しても、相手には真に伝わらないということを強く述べられました。そのひたむきな思いには、自然と表情やジェスチャーが付随し、それが結果として「豊かな伝い手」としてにじみ出てくることをおっしゃいました。
その他にも、報道という「伝える」最前線で御活躍されている中での苦労や中村様の生き方等も話してくださり、大変貴重な講座となりました。
この場をお借りして、中村様には大変お忙しいところ時間を割いていただき長時間にわたって講演していただきましたこと、また、講座の開催にあたって多大なる御尽力をいただきました阪根名誉教授に、深く感謝申し上げます。

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